こんにちは。歌い手&作詞作曲DTMerのLettyです。
編曲(アレンジ)とは
一般的には、メロディーを作ってそれにコード進行を当てはめるまでの作業のことを、作曲といいます。その作曲したものに、伴奏となる楽器を付け足して一つの楽曲に仕上げる作業のことを、編曲といいます。
編曲というのは、メロディー・コード進行・歌詞以外のほぼ全てを作っていかなければならないので、楽曲のクオリティーを左右するとても重要な作業になります。
しかし、難しく考える必要はありません。複雑に思えるかもしれませんが、実は単純なものの繰り返しであったりもします。
編曲の上達はまず既存曲のコピーから
「手っ取り早く編曲が上手くなりたい!」と思うなら、既存曲をコピーするのがおすすめです。ここでのコピーというのは、聞いたものをそのまんまDAWソフト上などで打ち込んで再現することを言います。
既存曲をコピーすることで、曲の中身がどのようになっているのかを知ることができます。それにより、段々と編曲ができるようになっていきます。
既存曲をコピーすることで得られるメリット
まずは、既存曲をコピーすることでどんなメリットが得られるのかを解説します。これには、以下の4つがあげられます。
➀既存曲から曲の作り方を学ぶことができる
➁フレーズの引き出しが増える
➂編曲の能力がアップする
➃編曲の作業スピードが上がる
それぞれについて、詳しく解説します。
既存曲から曲の作り方を学ぶことができる
編曲ができるようになるために、音楽理論を必死に勉強している人もいると思います。しかし、その学んだ内容を実際に曲作りにどのように活かしていけばいいのか、わからないという人は多いです。
そこで、既存曲をコピーすることで、曲がどのように作られているのか、中身を知ることが大切です。この作業を積み重ねていくことで、曲の作り方が身についていくので、自分で編曲する時にも役立ってくれます。
フレーズの引き出しが増える
既存曲をコピーしていると、様々なフレーズが登場してきます。それらのフレーズは、既存曲のコピーをしていくことで、自分の中に引き出しとして確実に増えていきます。
引き出しが増えると、「ここはこのフレーズにしよう」などとイメージが浮かびやすくなっていきます。
編曲の能力がアップする
コピーをしていると、自然とその曲がどのように作られているのかが聞いただけでわかるようになってきます。メロディー、リズム、コードなど、何曲もコピーしていくうちに聞き分けられるようになっていきます。
そうすると、普段何気なく聞いている音楽からも使えそうなフレーズやヒントをたくさん得られます。それが、結果的に編曲の能力アップに繋がるのです。
編曲の作業スピードが上がる
コピーを続けていると、自分で編曲している時に完成までのイメージがしやすくなっていきます。そのため、次々と「こうしたい」と思うような発想が生まれてきます。
この発想がどんどん生まれるようになると、作業スピードも上がり、イメージ通りの編曲ができるようになっていきます。
編曲(アレンジ)の要素
アレンジは、いくつかの要素から成り立っています。大きく分けると、具体的には以下の5つです。
➀コード
➁曲の構成
➂リード楽器のソロパート
➃キメやブレイク
➄ストリングスなどの包み系
それぞれについて、どのようなものなのか詳しく解説していきます。
コード
コードというのは、簡単に言うと3つ以上の音が重なってできた和音のことです。楽曲というのは、コードを次々と並べていくことで成り立っています。このコードの流れのことを、コード進行といいます。
それぞれの楽器は、曲中でコードに基づいて音を鳴らしています。主にギターやピアノあたりがコードを鳴らす役割を担当しています。また、ベースはコードのルート音を鳴らすことで、コードをより強調させる役割があります。
どのコードを使うかによって、曲の雰囲気は大きく変わります。
曲の構成
イントロなしでいきなりサビから始まるパターン、イントロから徐々に盛り上げていくパターン、間奏やDメロを挟むパターンなど、曲には様々な構成があります。
曲の構成というのは、全体の骨組みのようなものです。一つの物語を作るように、構成を考えて曲の展開を繰り広げていきます。
リード楽器のソロパート
イントロや間奏などで、メインのメロディーを演奏します。また、ボーカルの歌メロのバックで、サブメロディーを演奏することもあります。
よくあるのは、ギターでソロを弾くパターンです。目立つ部分ですので、ギターの見せどころになります。
キメやブレイク
キメというのは、全ての楽器が一斉にリズムを強調するようなフレーズを演奏する箇所のことです。
ブレイクというのは、全ての楽器が演奏を一瞬だけ止めることにより、無音の空間を生み出す技法のことです。しかし、あまり多用しすぎると曲全体のクオリティーが下がってしまいますので、入れる場合はどうしても使いたい場所だけにしておきましょう。
ストリングスなどの包み系
ストリングスでは、ボーカルの裏でフワフワと目立たないように鳴っていることもあれば、曲に壮大な広がりを与えたりする役割もあります。
ストリングスを入れることで、曲を盛り上げることができます。また、包み系ではストリングスの代わりにオルガンの音色が使われることもあります。
具体的な編曲の手順
それでは、ここから具体的な編曲の手順について解説していきます。編曲では、作ったメロディーに対して伴奏をつけていく作業を行います。手順としては、以下の9つになります。
➀参考楽曲を用意する
➁テンポと曲のジャンルを決める
➂一番盛り上がる部分で使いたい楽器を全部書き出す
➃リズム楽器から作る
➄コードをつける
➅ベースラインを作る
➆ギターやピアノの伴奏を作る
⑧ストリングスを入れてみる
⑨装飾系の要素を一番最後に入れる
それぞれについて、ここから詳しく解説します。
参考楽曲を用意する
まずは、参考となる楽曲(リファレンス)を用意します。
DAWソフトのオーディオトラックに、MP3やWAVの音源を取り込みましょう。
テンポと曲のジャンルを決める
ゆったりとしたテンポのバラード、速めのテンポで疾走感のある曲、ノリのいいEDM調の曲、などのように自分の作りたいものをイメージしてテンポとジャンルを決めましょう。
一番盛り上がる部分で使いたい楽器を全部書き出す
ずっと同じような楽器で同じようなフレーズが続いていると、聞き手はだんだん飽きてしまいます。
そこで、間奏やDメロで、初めて出てくる楽器を使ったりして楽曲に変化をつけます。そうすることによって、聞き手に新鮮さを与えることができます。
注意しなければいけないのは、初心者によくあるのが、あれもこれも思い付きで後からどんどん楽器を足してしまうことです。しかし、最初にアイデアを多く出して後からいらないものを削っていくような、引き算のイメージで行う方がスッキリまとまって上手くいきやすいです。
そこも考慮した上で、使いたい楽器は途中で足すのではなく、最初に思いつく限り全部書き出してしまいましょう。
リズム楽器から作る
音楽は、メロディー・リズム・コードの3要素を基本として成り立っています。
楽曲の中において、リズムはドラムとベースが連動して支えています。そのため、まずはメロディーに合わせてドラムを最初に作っていくことをおすすめします。
リズムの土台が先にできていることで、その後に別の楽器を重ねていく時もイメージがしやすくなります。その結果、編曲をスムーズに進めることができます。
コードをつける
メロディーとリズムができたら、今度はそれに合わせてコードをつけていきます。コードは、ピアノやギターで作られていることが多いです。
コード進行には著作権が存在しない為、参考楽曲から抜粋して使ってみても良いです。または、自分で考えても良いですし、一般的によく使われているコード進行を使うのもありです。
先ほどお話したメロディー・リズム・コードの3要素がイマイチだなと感じる場合は、焦って次の工程に進まないでください。なぜなら、これが曲のクオリティを左右する重要な土台となるからです。
土台がイマイチだと、後から持ち直すということが難しくなってきます。編曲に入る前に、作曲の段階でコードがある程度できている場合でも、コードの見直し(リハーモナイズ)を行います。メロディー・リズム・コードの3要素が納得いくまで、何回でも作り直しや見直しをしてみましょう。
そうすれば、この後の作業で失敗しにくくなり、編曲が楽しくなっていきます。
ベースラインを作る
メインのメロディーの邪魔にならないように、裏で鳴らす別のメロディーのことを、「対旋律」といいます。別の言い方では、「オブリガート」とも呼ばれています。
ベースラインは、ボーカルのメロディーに対しての対旋律をイメージしながら作っていきます。
大前提として、ベースはコードを構成する最も低い音(ルート音)を基本として、曲に沿って動いています。コードが変わった時の最初に鳴らす音は、基本的にはルート音としてください。
そうすることによって、曲全体のコード感が強くなり、ベースの存在感も増します。
例えば、コードがCの場合は、構成音が「ドミソ」になります。この時のルート音は、「ド」になります。コード名のアルファベットがルート音になると覚えておけば、わかりやすいですね。
また、ベースはドラムのキックの鳴る場所と一緒に鳴らすことで、曲に一体感が生まれ、ノリが良くなります。しかし、これは基本ではありますが、絶対にそうしないといけないという決まりはありません。逆に、キックの鳴っていない位置でベースを鳴らしても問題はありません。
ただ、あまりにもキックとベースがバラバラに動いていると、うまく連動せずリズム感がイマイチな感じになりやすいので気をつけてください。
ギターやピアノの伴奏を作る
先ほど、メロディーにコードをつけましたよね。そのコードのMIDIデータを、ギターやピアノのトラックにコピペしてみましょう。このコピペしたデータを使って、ベースのリズムと合うように、コードにもリズムを与えていきます。
コードを作った元のデータは、いじらずにそのまま置いておくことをおすすめします。なぜなら、元のデータを使ってリズムを変えたり編集しているうちに、「あれ、ここはどんな感じだったっけ?」とわからなくなってしまうことがあるからです。
また、メロディーのないところを埋めるようにフレーズを入れてみたり、メロディーとハモるようなフレーズを入れてみたりするのがおすすめです。そうすることによって、物足りない感じがしにくくなり、上手くまとまりやすいです。
ストリングスを入れてみる
ストリングスは、バラード系の曲で使用されることが多いです。しかし、テンポが速くて激しめの曲でも使われていることは多くあります。
ストリングスを入れることによって、楽曲を壮大に盛り上げることができます。そのため、盛り上がりが欲しいと思うようであれば、入れることをおすすめします。
オーケストラで一般的に使われるストリングスは、基本的に5つのパートからできています。オーケストラっぽい音楽を作りたいわけじゃなくても、これが音楽の基本となるので覚えておきましょう。DTMで楽器を選択する時に役に立ちます。
使用する楽器は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの4つです。これらは、左から楽器の大きさが小さい順に並んでいます。また、楽器の大きさが小さいほど音は高くなります。
ヴァイオリンは、2つのパートに分かれます。そのため、1stヴァイオリン(ファーストヴァイオリン)、2ndヴァイオリン(セカンドヴァイオリン)と呼ばれます。残りのヴィオラ、チェロ、コントラバスを合わせて5つのパートとなります。
ポップスなどでよくあるのは、1stヴァイオリン・2ndヴァイオリン・ヴィオラ・チェロという構成です。ここにコントラバスが入ることもあります。
装飾系の要素を一番最後に入れる
サウンドエフェクト(SE)やアルペジエーターなどは装飾系の要素であり、ファッションでいうとアクセサリーのような存在です。
例えば、ファッションの軸の部分である服を選んでからそれに合うアクセサリーを探す方が簡単ですよね。アクセサリーを先に選ぶのがダメというわけではありませんが、それを先に選んでしまうとメインの服が後回しになってしまいます。
それと同じように、まずはメロディ、リズム、コードに関わる音楽の軸の部分を先に作るのが基本です。それができてから最後に装飾系の要素を付け足すことをおすすめします。
そうすれば、不要なところに装飾を入れてしまうなどの失敗がなく、スッキリまとまりやすいです。
編曲のコツ
これまで説明した方法以外に、使えるコツを2つ紹介します。
➀コンデンスアレンジをする
➁シンセを重ねて存在感を与える
それぞれについて、ここから詳しく解説します。
コンデンスアレンジをする
同じ楽器のみまたは少数のパートだけで編成を組んでアレンジを行うことを、コンデンスアレンジといいます。コンデンスというのは、英語で”凝縮する”という意味があります。
編曲のコツとして、まずはコンデンスアレンジを行い、後からそれぞれの要素をいろんな楽器に振り分けていくというやり方があります。このやり方は、オーケストラの編曲などでよく用いられている方法なのですが、他のジャンルの音楽でも全然使えます。
やってみるとわかりやすいですが、例えば各楽器に振り分ける前に、一度ピアノだけで全てのパートを表現してみてください。メロディー、リズム、コード、ベース、装飾音など、できるものは全てです。そうすることで、詰め込みすぎてごちゃごちゃした感じになるのを避けやすくなります。
シンセを重ねて存在感を与える
編曲の手順で紹介した、ドラム・コード楽器・ベース・ストリングスなどだけでは物足りない場合、シンセの音を重ねると、音の厚みが増します。
例えば、シンセのSAW系の音色を2~3和音で鳴らしてリズムを刻みます。そうすることによって、リズムやサウンドが強調され、存在感を与えることができます。
まとめ
ここまで、アレンジ(編曲)の手順とコツについて、解説してきました。
➀参考楽曲を用意する
➁テンポと曲のジャンルを決める
➂一番盛り上がる部分で使いたい楽器を全部書き出す
➃リズム楽器から作る
➄コードをつける
➅ベースラインを作る
➆ギターやピアノの伴奏を作る
⑧ストリングスを入れてみる
⑨装飾系の要素を一番最後に入れる
この順序で作っていけば、あまり迷わずに編曲作業を進めていくことができます。そうすれば、短時間でクオリティの高い曲が作れるようになっていきます。是非、試してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。