こんにちは。歌い手&作詞作曲DTMerのLettyです。
コードを覚えても、それをどう並べていけばいいのかわからない…そのせいで私もよく悩んでいました。そんな時、作曲について勉強していたらコードのとある規則性を知りました。それからは、自分でコードを並べながら作曲ができるようになりました。
そこで今回は、コードを構成する和音のこととコード進行の規則性について説明していきたいと思います。
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和音とは
違う複数の音程の音を、同時に鳴らした時の響きのことを和音といいます。しかし、ただ適当に選んだ複数の音を好きなように鳴らせばいいというわけではありません。綺麗に響く協和音と響きの悪い不協和音というものが存在します。そこで、綺麗に響かせるために選ばれた音の組み合せが理論的に決まっています。
三和音・トライアド
音を3つ同時に鳴らした時の和音を三和音といいます。英語ではトライアドといいます。1度・3度・5度の音を同時に鳴らしたものです。例えば、「ドミソ」「レファラ」「ミソシ」のように楽譜上で団子みたいに3つ並んでいる状態です。この、1度・3度・5度の組み合わせが基本的な協和音の形になります。
ちなみにこの譜面はハ長調になりますが、調が変わったとしても、考え方は変わりません。
例えば、ニ長調の場合は下の譜面のようになります。
ここでは全て長調の場合の説明になっているので、短調のことは一旦忘れましょう。
四和音・テトラッド
音を4つ同時に鳴らした時の和音を四和音といいます。英語ではテトラッドといいます。これは、先程の三和音(1度・3度・5度)に7度の音を足したものです。
ダイアトニックコード
先程説明したような、綺麗に響くトライアド、テトラッドのことをダイアトニックコードといいます。ダイアトニックコードは、様々なコード進行においての基盤となるものなので、非常に重要です。
私たちが普段聴いている曲も、ダイアトニックコードを基本として作られています。
ディグリーネーム
和音に対して番号をつけてあげると、調が変わったとしても呼び方が統一できますよね。そこでつけられたローマ数字のことをディグリーネームといいます。
三和音・トライアドのディグリーネーム
左から順番に、ローマ数字でⅠからⅦまで番号が振られています。その他の細かい記号を、一つ一つ別に説明していきます。
右下についている小文字のmは、そのコードがマイナーコードであるということを表しています。mがついていない和音はすべてメジャーコードになります。mがついているのはⅡ、Ⅲ、Ⅵ、Ⅶですね。これらのコードは、1度と3度の音程が短3度になっています。つまり、mは3度の音程を表します。
では、右上に(♭5)と書いてあるものは何でしょうか?これは、5度の音程を表しています。(♭5)がついている場合、1度と5度の音程が減5度であることを表しています。(♭5)がついていない場合は、1度と5度の音程が完全5度であるということです。つまり、ⅠからⅥまでは1度と5度の音程が完全5度になっています。(♭5)は、-5とも表すことができます。
四和音・テトラッドのディグリーネーム
ⅠからⅦまでのローマ数字とmと♭5は三和音の時と同じですが、今度は大文字のMと7が出てきましたね。M7や7は、メジャーセブンスコードかセブンスコードかを表しています。1度と7度の音程が長7度の場合、メジャーセブンスコードとなりM7または△7と表されます。1度と7度の音程が短7度の場合、セブンスコードとなり7と表されます。
三和音の場合は7度の音程を含みませんので、M7も7もつきません。
コード進行とは?
音楽は、コード(和音)を次々と並べて繋げていくことで作りあげられます。そのコードの並びのことを、コード進行と言います。コード進行に著作権はなく、誰かの曲のコード進行だけを真似して全く違う曲を作っても何の問題もありません。
しかし、自分でコードをゼロから並べていくには必要最低限の決まりを知っておく必要があります。
コード進行の仕組み・ルール
最低限覚えておかなければならないルールとしては、3つあります。知らない言葉が出てくるかもしれませんが、後々説明していきますので安心してください。
①コードにはトニック、サブドミナント、ドミナントという機能がある。
②トニック、サブドミナント、ドミナントの役割を持っているコードを次々繋げていくことで曲が進んでいく。
③代理コードで、とあるコードを他のコードに置き換えて変化をつけることができる。
コードの役割
まず、コードは大きく3つの役割に分けることできます。とにかく、この3つのコードを使っておけば間違いないです。
・トニック(T)
スケール(音階)の一番最初の始まりの音であり、主音と呼ばれる。トニックには、安定しているという特徴がある。
・サブドミナント(SD)
スケール(音階)の第4音を指す。サブドミナントは、やや不安定であるがドミナントほどは不安定ではない。トニックから離れようとする性質。
・ドミナント(D)
スケール(音階)の第5音を指す。ドミナントには、不安定であるという特徴がある。トニックに向かおうとする性質。
難しくて理解できない…!という人も、とりあえずスケールの第1音がトニック(T)、第4音がサブドミナント(SD)、第5音がドミナント(D)ということを覚えておいてください。
不安定か安定しているかは、そのコードを単体で鳴らした場合の聞こえ方で決まるのではありません。コード進行の全体の中で、そのコードがどう聞こえるのかという意味です。
重要な音とされている順で言うと、トニック>ドミナント>サブドミナントとなります。この3つのコードを合わせて、スリーコードと呼ばれます。
滑り台を使った例え
では、もっとわかりやすく説明していきます。
滑り台を思い浮かべてください。地面をトニック、階段をサブドミナント、踊り場をドミナントとします。
トニック | 地面 | 着地感がある。元に戻ってきた感じ。終わった感じがする。 |
サブドミナント | 階段 | 着地感がない。終わっていない。宙に浮いている。 |
ドミナント | 踊り場 | 着地感がない。終わっていない。宙に浮いている。元に戻りたい感じがする。 |
サブドミナント(階段)からトニック(地面)に進むと着地感があります。また、ドミナント(踊り場)からトニック(地面)に進むとより強い着地感があります。何となくイメージできたでしょうか?
コードの並べ方
先程の滑り台の例えを理解していただけるとわかりやすいと思うのですが、曲はトニック(地面)から始まってトニック(地面)に着地して終わると安定感があります。
不安定なコードのまま、すなわち曲がサブドミナント(階段)やドミナント(踊り場)で宙に浮いたままの状態で終わってしまっては地面に着地できず何かしっくり来ません。そのために、大体の曲のコード進行ではトニックで終わるようにできています。
しかし、不安定さを利用して作られている曲も世の中には存在します。絶対的にトニックで終わらなけばいけないわけではありませんが、ある程度規則性があるということを覚えておいてください。
代理コード
先程、ⅠとⅣとⅤのコードを使っておけば間違いないという話をしました。では、残りのⅡとⅢとⅥとⅦは使わないのか?いいえ、違います。これらは代理コードと言われるもので、ⅠとⅣとⅤの代わりに置き換えて使うことができます。置き換え使うことで、コード進行に変化を与えることができます。また、ⅡとⅢとⅥとⅦにもそれぞれきちんと役割があります。
ダイアトニックコード内のすべてのコードの役割を整理すると、このようになります。
コード | 役割 | 分類 |
Ⅰ | トニック(T) | スリーコード |
Ⅱm | サブドミナント(SD) | 代理コード |
Ⅲm | トニック(T) | 代理コード |
Ⅳ | サブドミナント(SD) | スリーコード |
Ⅴ | ドミナント(D) | スリーコード |
Ⅵm | トニック(T) | 代理コード |
Ⅶm-5 | ドミナント(D) | 代理コード |
まとめ
ここまで、コード進行の規則性について解説してきました。
・複数の音を同時に鳴らしたもののことを和音という
・あらゆるコード進行は、ダイアトニックコードを基本として作られている
・調が変わっても統一できるコードの呼び方を、ディグリーネームという
・トニックは安定、サブドミナントはやや不安定、ドミナントは不安定な要素がある
・代理コードを使うことができる
これらの規則性を知っておくことで、曲を作る時にかなりコードが並べやすくなると思います。ぜひ、コードの役割を意識しながらコード進行を作ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。